遅いおそいと多くの人が連絡を待っていた持続化給付金ですが、やはり、申請における「不備」が多発しているということで、間違いやすい例が取りまとめて5月27日に公開されました。
以前からこのブログでも指摘の通り、銀行名に関する間違いや勘違い、入力ミスだけでなく、書類についても異なる書類を提出していたり、日付や必要な売上が記載されていなかったり、政府への不満を言うまえに、慎重に確認をしておくべきポイントが多数見落とされている可能性が出てきました。
今後も同じように補助金や給付金が出る際に、同じ間違いをおかさないためにも、間違いそうなポイントを確認しておきましょう。
ミスその1:添付ファイルに問題アリ
申請あたり、通帳や売上台帳、確定申告書について、スキャナーでのスキャンだけでなく、スマホなどをつかって写真撮影するカタチでもOKとなりました。緊急事態宣言に伴う外出禁止や殺到する申請者が機器等を備えていない場合を考慮し、緊急対応として「写メでもOK」となったわけです。
ところが、この写メも、慣れていない人からすれば、きちんと撮影することは困難。自分の画面で映った気になっていても、手ブレや光の影の具合、保存様式によって文字がぼやけたりと、配慮しなければいけないポイ運とが多数あるのですが、そんなことを気づく人も少なく、結果として提出された書類が「読めない」「判読できない」「かすれている」といった自体が多発していたようです。
- 添付ファイルにパスワードが設定されている
- 画像がぼやけて情報が判読できない
- 撮影時の角度により、必要な情報が撮影範囲から見切れている
- 申請している法人とは別の法人等の書類が添付されている
パスワードに関しては、自動的に付与する設定をしている人がいつもどおりにパスワード設定していたかもしれません。画像がぼやけては、スマホ撮影のときによくある話。角度がちょっとついて斜めに書類が撮影されても文字がギザギザに化けることもあり、細かい書類だと確認ができないことあがるのです。そんなときに使えるのが
「セルフタイマーで撮影」です。
あんまり知られていないんですが、スマホで撮影する際、手動でボタンを押して撮影すると、その押す動作によってブレが発生します。だから、3秒とか10秒とか、セルフタイマー撮影するモードがアプリに入っていると思いますがそれを使うとスマホが自動的にシャッターを押すので、手ブレを少なく撮影できます。これから申請する方や、今後申請書類が有るときは、ぜひお試しを。
ちなみに、別の法人の書類は、もはや問題外ですね。複数法人を持たれていたりする場合に、ご自身で勘違いしたということでしょう。ただ、その違いを見抜けない経営管理はちょっと問題アリかなと。以後は間違いのないように注意しましょう。
ミスその2:確定申告書類に問題アリ
確定申告書なんて一緒だろう。という思い違いがそもそもの不備の始まり。いくつかの添付書類の不備例を見てみると、それがはっきりします。
- 確定申告書の第一表ではなく、消費税の確定申告書が添付されている
- 該当する年度のものではない古い確定申告書が添付されている
- 申請画面で入力した売上と、確定申告書に記載されている売上が異なる
- 法人概況説明書1枚目に売上の記載がない
- 法人概況説明書の2枚目に月別の売上の記載がない
- 収受日付印がない
- e-taxの受信通知がない
確定申告書は、税理士に丸投げしていても、内容の内訳が記載されているわけですから、少なからず見るはずです。こればかりは書類自体を間違えることのないようにしましょう。古い年度か否かも期日を確認すれば良いだけです。
確定申告書を添付するのは、「記載内容と一致しているか」を確認するためですから、過小売上や金額を変えてしまっては、添付書類の意味をなさなくなってしまいます。
法人概況説明書関連は、あまり馴染みがない可能性がありますが、税理士に申請を任せていればきちんと記載してあるはず。個人で記載漏れがあったか、特に裏面の月次売上は記載しないまま申請を出してしまう「慣習」があったりしますから、今後の事も踏まえこの、法人概況説明書はきちんとオモテウラ両方の記載に漏れがないか、どのようなことがかかれているかチェックしておきましょう。
だって、この法人概況説明書
「日本政策金融公庫」の「融資」の判断でめっちゃ見てますよ
今後の融資や助成金の審査でも書類に記載されている内容は、会社の現況を示す証です。税理士に任せきりではなく、経営者自身がきちんと読み込みましょう。
ミスその3:売上台帳の記載要件を満たしていない
これも記載要項にきちんと書いてありましたよね。売上台帳については「年度」「月次」がわかるようにあと。もうこれ注意事項に予め書いてあったじゃないですか。記載していないかミスをしたのは本当にもったいない!
■ 売上台帳として確認できる書類について ・給与明細、通帳の写し、レシート、請求書等は認められません。 ・対象となる【売上月】を記載してください。 ・対象となる売上月の【売上額】の【合計】を記載してください。 ・売上額が0円の場合は、【対象となる売上月】の売上額が【0円】であることを明確に記載してください。 |
この案内が書いてあったにも関わらず、提出された書類は次の通り不備で受付多数発生
- 売上台帳の売上と、対象月の売上が一致しない
- 売上台帳の月と、対象月が一致しない
- 売上台帳ではなく、勤務日報、通帳の入金記録、請求書等を添付している
- 今年の対象月の台帳ではなく、昨年の売上台帳を添付している
- 添付された売上台帳の月が対象期間外
(今年ではない、申請日よりも未来の月など)
「経理ソフトから抽出した売上データ」や「エクセルで作成した売上データ」もしくは、手書きだったとしても、「売上帳冊子をコピーしたもの」であれば、こうした不備は発生しなかったはず。おそらくですが、日頃どんぶり勘定で済ませているか、月次決算を締めていないため、月次の売上が判明せず、急ごしらえで作った資料をそのまま添付した際に起きた事例ではないかと思われます。
もちろん、こうした書類が「管理されたもの」か「急いで作ったか」は審査する側はお見通し。これもですが、今後、融資を受ける際には、書類の中身を見る前に
審査対象外・審査不適格
となりますので、これを気に「月次決算」に取り組むようにしていきましょう。なぜ「月次決算」が必要かといえば、それは「資金繰りを予測」できるのであり、資金繰りができるようになれば「倒産しない」からです。せめて、エクセル等で月次の売上が実績ベースだけでも管理できるようにしていきたいですね。
ミスその4:銀行口座における名義間違い
これは何度も可能性ありませんか?と指摘しておいたことがやっぱり予想通り多発していて、口座が確認取れない=書類に問題なくても振り込めない、ということになるので、待てども入金が届かないという自体に陥ったことでしょう。それも膨大な数では連絡さえ届くのに時間がかかってしまったという…これを機にマイナンバーと銀行口座の紐付けが検討されているようですが、早く実現すべきだと思います。
さて、実際のミスですが、
- 通帳の表紙、1-2ページ目以外のページが添付されている
- 普通・当座以外の口座が登録されている
(貯蓄預金、通知預金、定期預金、融資返済専用口座:カードローン通帳の口座は受け付けられません) - 通帳の金融機関コードと登録された金融機関コードが一致しない
(金融機関コードは銀行コードと表示されている場合もあります) - 通帳の支店コードと登録された支店コードが一致しない
(支店コードは店舗コードと表示されている場合もあります) - 通帳の口座番号と登録された口座番号が一致しない
(口座番号は7桁の半角数値です。7桁に満たない場合は、先頭に「0」を入力してください) - 通帳の口座名義と、登録された口座名義が異なる。
例えば、法人格を省略、屋号を追加する、使用不可能な文字が利用されている
以前の記事でも指摘していたとおり、銀行口座の登録されている情報と、間隔として日常思っている情報の相違が、「一致しない」ということで、エラーになっていたということです。
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【口座を申請するときの注意事項】 |
全般 金融機関の統合・合併等で古い通帳(口座情報)のままの申請や口座解約や口座が凍結されている通帳の申請が多発しています。振込可能な通帳かどうか取り扱い金融機関にご確認の上、申請をお願いいたします。 ゆうちょ銀行の方 「記号・番号」ではなく、銀行使用欄に記載の「店名・店番・預金種目・口座番号」を入力ください。 不明な場合は、ゆうちょ銀行のホームページ等でご確認ください。 ネット銀行の電子通帳の方 金融機関コード・支店コード・口座名義(カタカナ)を正しくご入力ください。 口座名義の入力 口座名義等に半角スペースがある場合は、半角スペースを忠実に入力ください。 例)誤:カブシキガイシヤジゾクカ → 正:カブシキガイシヤ ジゾクカ 小さい「ッ」や「ョ」などは使えません。大きい「ツ」「ヨ」などに置き換えて入力ください。 例)誤:ニッポン → 正:ニツポン 中黒点「・」は、ピリオド「.」ドまたはスペースを使用してください。 例)誤:イチ・ニ・サン → 正:イチ.ニ.サン 又は イチ ニ サン カナ長音文字(-)は、半角ハイフン、マイナス(-)を使用してください。 例)誤:トーキヨー → 正:ト-キヨ- |
この中で、ちょっとトリッキーだとおもったのは、「法人格+社名」のこの間に「半角スペース」があるという例。こんなのディスプレイ上で確認するの難解クロスワード並みの困難さ!
法人口座登録した際に、入れてしまったスペースが仇となったか、意識しないうちに口座開設の際、半角スペースが入っていたことに気づかず口座ができあがってしまったか。不幸としか言いようがありません。
そして、これは「合同会社」で法人登記した人に多い間違いかもしれませんが、株式会社だと「マエカブ」「アトカブ」っていう形で、社名の前後どちらに法人格が来るかを確認する会話が、ビジネスの日常でも繰り広げられていると思いますが、その感覚で「ゴウ)」と口座に書いてしまったことで、不備になったケース。
❌ ゴウ)
⭕ ド)
ですからね。株式会社に勤務する方が、取引先に合同会社がある場合の銀行口座においても同様の間違いが起こりえますから、これを機会に覚えておきましょう。合同会社の銀行口座名義における略称は「ド)」です。
まとめ:チェックで回避できるストレスがある
こうして不備の例をまとめていただき、持続化給付金の事務局も大変な作業をひたすら何十万件とこなされていた事と思います。振り込まれないストレスを申請側が抱えていたのと同じぐらい、事務局側も「処理がすす進まない焦りとストレス」を感じていたかも知れません。
でも、これらのミスや不備は「注意事項」や「要項」を落ち着いて呼んで、正しい書類を確認し、再度チェックした上で申請すれば起こり得ないもの。
「あなたが審査対象外」とされたのではなく、「あなたの申請に不備があって審査や処理ができない」とされているのは実にもったいない。確認を怠るだけで、何日もやきもきした気持ちになるぐらいであれば、やはり「有事のときこそ慎重に」業務に取り掛かりましょう。
感染拡大による営業自粛や外出自粛は突然やってきたもの。誰を責めることもできず、行き場のない怒りや思いにあふれていることでしょう。けれども、誰かを避難したり、天にツバを吐いても、結局は自分が損をするだけ。起こりうる自体に冷静に対処することだけが、進むべき道の障害もスイスイを避けて導いてくれるはずです。
とりあえず入金があった方はお疲れ様でした。そして、まだ半分以上は入金がされないままのこの持続化給付金。連絡待ちのイライラに大変なことと思いますが、これもやがて片付けて、明るい方向に向けて進みましょう。
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